Twilight Story of Albuca dilucula


はじめに

ウェブページ The Succulentistにお越しいただきありがとうございます。このページでは、毎回特別に思い入れのある植物をとりあげて、まつわるストーリーやそのバックグラウンドを紹介していこうと思っています。方々を旅して見つけて来た、新しい導入品の紹介や、幻の種、忘れられた銘品など、他では紹介される機会のない本当に貴重な植物に、ひとつ一つ光を当てていく場になればと思います。このストーリーを読めば、きっと手に入れて育ててみたいと思うはず。毎回紹介した植物のオファーをできるよう、
Special offerのページもあわせて設けようと思います。
流行りの向こう側、いきませんか。この場が植物たちにとってのよき晴れ舞台となりますように。

河野忠賢


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Bluish
Wavy
Sculptural
&
Puffy
Leaf
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IPNI; Ornithogalum diliculum/ Albuca dilucula
Plant Global; Ornithogalum diluculum


Albuca diluculaは、1978年、Ornithogalum diluculumとして記載されており、2009年にManningらによってアルブカ属に編入されることとなった。TL(Type Locality)は、南アフリカ西ケープ(左下)、Touws Riverの流れるMontagueのBloutoringという場所。典型的な冬季降雨地帯だ。

👁‍🗨Bloutoring

ディルクーラ。さまざまな葉の形態を有するアルブカ属のうちでも、特別な姿をした一種。秋晴れのように青い葉、そしてなによりも目をひきつけて離さないのが、この葉の縁取り。シャコ貝の縁取りのような。パフプリントのように、盛り上がっている。そして、こういう繊細なデザインであるにも関わらず、成球になれば葉長10cm以上にもなり、葉幅は1cmを超える。大きくなっても、この縁取りの細かなうねりはなくなることなく、むしろバルブの充実に従って縁取りも立派になってゆく。

ネットの海を彷徨っていた頃、たまたま見つけた一枚の写真でディルクーラの存在を知ったように思う。そこから見つかるまで探し続けて、ようやく、南アの小さな趣味家と繋がり、彼が実生したAdult bulbsを譲ってもらうことができた。南アの球根は、南半球で、我々とは逆だから、導入してから1年はひたすら地面を眺めるだけだ。だから、あんまり球根類はもどかしくて好きではないのだけど、それを上回る魅力と期待を、この種は持っていた。翌年の秋、出て来た時の高揚感。待ちかねた上にも待ちかねた。その頃、どこでも見たことはなくて、期待した以上の葉を出してくれた。
 

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夏前の開花
葉先は枯れ始めている。
2020.09植え替え時
初めて南アの趣味家から譲ってもらった親木。おそらく最大級のサイズまで育っている。

成長期の終わり、葉が枯れ出す頃に開花し、種子をつけて地上部はなくなる。種子を収穫したら、種子袋にいれて保管して秋を待つ。芽生えは、小さく、1年目はただの小さな芽ネギのよう。1年目の葉長はせいぜい2cmほどか。親球を海外の友人から導入してから2年後、昨年初めて念願の自家採種に成功したのだった。

黒いのが種子 on Surface Sand。右下にあるのは実サヤ。

記載論文に挿入された開花中のディルクーラ

さて、今回もいつものように原記載を探して読んでいたのだが、おもいもがけずとても面白いことが書いてあって、驚いてしまった。

数ヶ月前の初夏、今年もディルクーラの交配をいそいそしていたのだが、たいていいつ見ても花が閉じて咲き終わってしまっていた。なので、昼過ぎや夕方ごろに閉じた花の一方をピンセットで割いて、雌しべに花粉をつけて受粉させていた。これでも結実はするから、問題はないのだ。そんなある日、その日は朝早く7時過ぎに温室に入った。すると、朝焼けの爽やかな空気の中で、花弁がきれいに開いていた。なるほど、ディルクーラは朝型なのだなと思ったものだった。


さて、記載で盛り上がったのは、”ディルクーラ”という、その名前の由来だ。これだけ特徴的な縁取りの葉、遠からずこの変わった葉を形容したものだろうと思っていた。私ならそうしているだろう。当該の記載がこれだ。

『…when it was possible to watch the flowers opening early in the morning and soon closing again. This suggested the epithet diluculum, the Latin name for dawn.』

    ”..This suggested the epithet diluculum, the Latin name for dawn.”

                    ”..これを形容する言葉であるdiluculum、ラテン語でdawnを指す言葉である。”

そうではなかった。なんとディルクーラという種名の由来は、まさにこの”朝方に咲く性質”を形容しているのだった。diluculumというのは、ラテン語で”dawn”、つまり”夜明け”をさす言葉だという。夜明けの球根ディルクーラ、知らなかった。面白いね。あの特徴的な縁取りでもなく、朝焼けの頃、トワイライトを意味する言葉に由来していたなんて。ますます好きになってしまった。



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Special offer of Albuca dilucula seedlings

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1鉢 2球入り

/SPECIAL OFFER/
完売御礼!
今回も、Special offerをお楽しみくださりありがとうございました。

-Fin-