Nut-Bazzar (2020.07.25, 26)


7/25, 26、NB(ナットバザー)にお越しいただいた方々、まずはありがとうございました。
ここでは、イベントの様子をアーカイブしていこうと思います。

NB開催のきっかけは、さかのぼれば尊敬する友人吉村成史さんとの出会いから。昨年の暮れあたりから、何か一緒に植物イベントをやりたいねという話をしていた。ちょうど世の中は、3月のビッグバザールを最後に、外出もままならない様子で、大小イベントごとも軒並みキャンセルが続いていた。7月頭には、収束に向かったようだったが、また増加ということで、8月に予定されていた久しぶりのBBもまたもやキャンセルということになってしまった。世の中は自粛に疲れて、自身で気をつけながらも息抜きを求めていた。こういったニュースをきき、小規模だが、気をつけながらぜひ開催しようということにふみきった。会場は、吉村さんのブランドのアトリエ兼店舗である”Nut-Butter(ナットバター)”。そこで多肉バザールをやろうというわけだ。ナットバザール…、いやここは“ナットバザー”でいこう!ということでNB(Nut-Bazzar)の開催が決まったのだった。

左側、吉村さんと


さて、今回は何を持って行こうか。温室を歩きながらピックアップしていく。目についたものを選んでいくと、自然とユーホルビアが多くなった。好きだからね。こういうイベントはやっぱり、自分でもどうしようもないと思うようなものを持って行くのでは仕方がない。これは自分でも出したくないなあ、もし売れたらどうしよう..、というものでないと面白くない。出血。特別なやつを。もちろんひとりよがりなイチオシのやつも持っていくが、だれもが欲しがるin fashionな種類も忘れない。今回は目玉として、Euphorbia horwoodiiの実生正木苗を持っていくことにした。秘蔵していたとびきりのやつも2株、箱に入れた。いずれも正木実生球だ。長く伸びた育ち方をしたものもあるが、それでもそれぞれが実生球だから、種子親にもってこいだ。

黒肌
見事な色彩感

丸いままの姿を維持しているこのとびきりの2株は、一方は黒くまさに原産地球の雰囲気。もう一方は、鮮やかな模様で、こういう姿は、むしろ現地球にはないものだ。内地実生ならではの、鮮やかな色彩感とみずみずしさだ。長く育ったものも含めて全部で8株、ほど持っていくことにした。ありがたいことに、このあたりの特級ホルウッディは、初日のopenと同時に、何人かの熱烈な趣味家たちによってすぐ旅立っていきました。長くなった株も、種子採り用にと、すぐ。


それから、数年前気に入ってたくさん引いた(輸入した)タコものたちがいよいよ元気なので、いくつか持っていくことにした。Euphorbia gamkensisだ。導入から4年は維持しているもので、安定した元気な株々だ。アームが短く維持されたなかなか美しい株ばかり。ガムケンシスは、クラシペスなどと同様に花茎が開花後も枯れ残る種で、フスカなどに比べると、ずっと小型だ。アームと球体の長短バランスがコンパクトで、タコものの中でも特にタイプだ。今頃、成長期になると、多数の花を咲かせてくれる。今回は、私の温室で最大の個体も、一つ持ってゆくことにした。ガムケンシスは、平原であまり大きな遮蔽物のない場所に生えている。大きな岩に寄り添ったり、やはりそういう場所には種子が飛んでひっかったり、雨で流れた種子がひっかかって生えるのだろう。岩の影というのは、1日の強いひざしの休息を与えてくれる存在に違いない。そういう場所の株は、吹きさらしの場所よりも健やかに、大きく育っている。さて、そんなわけでHabitat seriesでもRock-snuggling Style(”岩に寄り添うスタイル”)で仕上げることにした。このまま維持していれば、アームが自然と垂直方向をとらえるようになって、素晴らしい景色になるのを確信している。左の株は、先に書いた最大の個体。写真右の小さな方の株は、こぶりながらアームが短くまん丸で形良く、加えて特に良い石英質の石を使っていて特に気に入っている。この二株は、新婚旅行を切り上げてまで、山梨からNBに来てくれた友人に、お祝いとしてもらわれていきました。おめでとうございます。

どっちも最高
Rock-snuggling style.



それから、Ceropegia stapeliformisの綴化なども、ひっそりと持っていっていた。今回の隠れた目玉品だ。これは、イチオシで、まだ相当に珍しく、初見ではおそらく正体が分からないかもしれない。以前一度ISIJの会報で紹介したことがあるが、オファーするのは今回が初めてのことだ。竜の鱗を剥がしてきたような、いやそれ自体竜のような姿をしている。そのうねる様は、予測がつかない、こちらにうねり、あちらに巻き込み。色彩は鮮やかで、深緑から、焼けた鉄のような色まで変化に富む。この綴化は、数年前にヨーロッパの友人を訪れた際に導入したもので、日本ではまだ最新の導入種であり知られていないものだ。

NBが始まって初日、ごくわずかに興味を示す人はいたのだが、持ち帰るには至らない。得体が知れなさすぎるのだろうか。そして、2日目閉店まぎわ、そろそろ閉めようかというとき、最後のお客さんが立ち寄った。そして、見事に惹かれてお持ち帰りになったのだった。ドラマチック!この綴化のカルティバーは、本当に素晴らしいと思っていて、それが分かる人がいたというのに、静かに感動していました。特にこれは大株で姿の良いもので、値打ちがあります。この躍動は、よい鉢をあつらえたら、それはそれは存在感を放つ存在になることしかり。鉢合わせが楽しみ。期待してます。



さて、こうした希少品やカルティバー(園芸種)を持ってゆく一方で、もうひとつのメイン目玉として披露したのがHabitat seriesだ。今回は、これまでのプロトタイプも含め、NBのために仕上げた新作もいくつか持っていくことにした。このHaworthia groenewardiiのHabitat seriesは、石とSurface Sandを組み合わせた本当に最初期の記念碑的一鉢で、特に思い入れの深いものだった。持っていく以上、非売品というのは嫌いなので、値段は確かにつけてある。しかし、知らない人の所へいったなら、もう二度とみることはないかも知れない。そう不安になるぐらい、思い入れのある一鉢だ。この、成長点がアンダーグラウンドに位置し、頭に砂をかぶった姿は、ハオルチアという植物が持つ憧れの原風景だ。結果的には、初日始まってすぐに立ち寄った友人が持って帰ることになったのだった。近しい友人に買ってもらえて安心している。知っている人のところへいったなら、所在が安心だ。また見せてください。   

Haworthia groenewardii
Habitat Series

埋もれてこそ
ハオルチアの原風景

 もう一つは、Lophophora williamsii(烏羽玉)のHabitat Seriesだ。原産地のマッディ(Muddy)な風景を再現するシリーズ。何度か、インスタにもあげて、好評を集めていたFissured Muddy Seriesの初期プロトタイプだ。これは、値付けが難しく、何度か値段を聞いていただいたのだが、値段をつけられなかった。植物自体なら、なんの変哲も無いウィリアムシーだ。銀冠でもなく、抜き苗ならせいぜい1000円程度だろう。だが、情熱を注いでFissured Muddy Surface(ヒビ割れシリーズ)に仕上げたこの鉢は、いくらに?このあたりが、Habitat seriesの面白い所でもある。たとえ、植物そのものが安価であっても、Habitat Seriesはそういった人間の都合を覆す。今回、初日に66potとSurface Sandをセットで買っていただいた方がいた。その日帰ってさっそく試したのだという。まず何気なく、カキコして所在無く捨てようかと思っていた、葉が数枚しかないハオルチアを、試しに66ポット/Surface sandで植えて見たという。すると..、葉数が少ない(みすぼらしい?)ことすらもむしろ原産地球のように見えてきて、ほんとうに特別な一鉢になったんです。大事にしています、という声をいただいた。その方は2日目にもいらっしゃって、追加でリピート購入してくださった!感謝。


ヒビに埋もれて、子株も2つ
Fissured Muddy series
見事なヒビ割れ


Habitat Seriesをやる上で、表土の質感というのはとても重要で、ずっと研究してきた。色味や、粒の大小の自然な混在。粒が揃っていたり、同じものが並んでいるというのは、いかにも不自然な光景だ。微塵の、細かな粒、大小、様々な粒子のものが、不規則にほどよく混じりあっていなくてはいけない。微塵が多すぎたり、大きな粒が浮きすぎたりしては、ダメなのである。そういうわけで、いろんな調合を試して、自然なバランスを求めて研究してきたわけだ。まず採ってきた原土を何段階かのサイズでふるいにかけて、要素(粒サイズ)ごとに分離する。それを、もっとも自然な風景になるように研究し、みつけた黄金比率で調合し直したものが、Surface Sandなのだ。その成果を、今回オファーすることにした。口つきのスタンドパウチに入っているのは、このスタイルなら、鉢へ直接、無駄なく注ぎ込むことができる。これもまた楽しい。大変好評で、1日目完売で、2日目も補充分がほとんど売り切れでした!66potとあわせて買っていただける方が多かったです。66pot+Surface sand=habitat!というぐらい、ベストコンビネーションです。

66pot
Surface Sand


陶芸者の意匠の効いた植木鉢に、植物あわせたものは、どちらかというと什器やインテリアの一つとして空間を構成するアイテムとなり、その場の景色の構成要素の一つとして、その目を楽しませてくれていると思う。だが、Habitat Seriesは少し違う、Habitat seriesに仕上げられた一鉢をその手に覗き込んだとき、周りの景色はぼやけ、原産地にtripする。いまここを忘れ、ここではない場所へ意識が飛ぶ。周りの景色は見えなくなり、原産地の風景がひろがりだす。Habitat seriesの鉢の縁は、原産地の地平に繋がっているのである。今回NBで、Habitat seriesを実際に見てもらう機会がつくれてよかったです。
NB終了後、インスタにも#habitatserisのタグで、写真をアップしてくださる方がいらっしゃいましたが、どれも素晴らしい出来。Habitat seriesは、自分でやってみると、ああでもないこうでもない、どの石をどこに置くか、石の向きはこっちか、いやもう少し傾けて置いた方が..とか。そのああでもない、こうでもないという時間もまた、楽しいものかと。原産地に思いはせる時間、至福。これから、Habitat seriesにまつわる様々なものも、開発/オファーしていけたらと思っています。ますます楽しくなりますね。

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アルバム
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両日、たくさんの方にお越しいただいて、みなさん手ぶらでお帰りになることはほとんどなかったように思います。特に66potとSurface Sandは好評で、初日完売、2日目追加分もほとんど売り切れでした。66potとSurface Sand、この2つのラインナップは、これからweb上でオファーしていこうと思っています。
NBでは、毎回ゲストを迎えて、定期で続けていけたらと思っています。



スピンオフNB

今回、遠方で来られなかった方や、自粛されて来訪をご遠慮されていた方にも、NBを楽しんでいただけたらと思い、web上でスピンオフNBを、期間限定で開催することにいたしました。 吉村さんのwebでも、販売あるようです。そちらもあわせてお楽しみください。うちでは、ちょっとした即買とオークションをやってみようかと。詳しくは以下のページから👋

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8/7(金)21:00~8/9(日)Open
NB Auction/selling




Nut-Butter
東京都杉並区下井草5-4-8
中央線なら荻窪駅からバスで、10分ほど。「清水3丁目」バス停下車すぐ。
https://yingyang-shop.com
Instagram; @narubrain